SDGs13「気候変動に具体的な対策を」の詳細を事例を交えて紹介!
SDGs
地球環境や社会のシステムを維持するための17の目標と、それに伴う169のターゲットについて、一つずつ事例を交えて解説していきます。
地球温暖化を筆頭とする気候変動への対応と適応能力の強化を目指す
これに付随して、以下のターゲットが設定されています。外務省の資料より引用してご紹介します。
●「目標13.気候変動に具体的な対策を」のターゲット
13.1 すべての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。
13.2 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。
13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。
13.a 重要な緩和行動の実施とその実施における透明性確保に関する開発途上国のニーズに対応するため、2020年までにあらゆる供給源から年間1 000億ドルを共同で動員するという、UNFCCCの先進締約国によるコミットメントを実施し、可能な限り速やかに資本を投入して緑の気候基金を本格始動させる。
13.b 後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において、女性や青年、地方及び社会的に疎外されたコミュニティに焦点を当てることを含め、気候変動関連の効果的な計画策定と管理のための能力を向上するメカニズムを推進する。
(出典:外務省仮訳「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」)
温室効果ガスの排出量の抑制などに、国や企業が総力を挙げて取り組む
この目標がターゲットにしているのは、もちろん人為的な要因が主体です。
代表的な要因として温室効果ガスの問題がありますが、これは私たちの生活と密接に関わりあっています。
石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料を燃焼させることにより発生する二酸化炭素は、温室効果ガスの代表的なもので、発電や自動車の走行時などに排出されます。
また、エアコンや冷蔵庫などに使われているフロンガスや、生ごみなどから発生するメタンガスも温室効果ガスです。
これらが排出されることにより、地上の気温が上昇し、温暖化が加速されます。海面上昇や生態系への影響もここに起因しています。
また、二酸化炭素を吸収し、酸素を排出する森林の破壊が、これに拍車をかけているのです。
この温室効果ガスの削減が最も重要な課題とされ、2015年に採択されたパリ協定では、世界の平均気温上昇を1.5℃に抑えることや、21世紀後半には温室効果ガスの排出量と吸収量とのバランスをとることなどが目標とされました。
この取り組みはすぐに効果が出るものではないだけに、すべての国が目標達成への努力を続けるよう求められています。
世界における気候変動及びその影響を軽減するための取り組み
●企業の取り組み事例/RE100
RE100とは、事業に使用する電力を、太陽光・風力・地熱・水力などの100%再生可能エネルギーに転換していく取り組みを行っている企業による国際的な企業連合です。
加盟企業にはグーグル、イケア、ナイキ、BMW、コカ・コーラ、ネスレなどの各業界を代表するビッグネームが並んでいます。日本ではリコーが初めて参加を表明しました。
この中でスウェーデンの家具販売企業であるイケアの取り組みを見てみましょう。同社はSDGsの17の目標すべてを戦略的に取り込んでおり、中でも「気候変動」と「再生可能エネルギーの促進」、「平等」の3点を最重点課題としています。
例えば、消費電力の削減や節水などで気候変動への影響を小さくする商品を揃えた「more sustainable life at home」シリーズを展開。世界的な人気となっています。
また、資源調達では使用する木材の77%をFSC認証(森林の環境保全に配慮し持続可能な形で生産された木材に与えられる)を取得したものや、リサイクル可能なものでまかなっているとのこと。
これは同社の取り組みのほんの一部ですが、こうした企業の存在が世界を牽引していくといえるでしょう。
●企業の取り組み事例/ダイキン工業
日本の空調設備メーカーとしてグローバルに事業を展開するダイキン工業では、「地球」「都市」「人」の3つのテーマを掲げ、SDGsに取り組んでいます。
世界各地でのエアコンの普及に伴い、電力消費量の増加や冷媒であるフロンガスの漏洩などによる温暖化への影響を低減するために、新たな製品やサービスの開発を進めているところです。
インバータエアコンなどの省エネ製品、安全性の高い低温暖化冷媒の使用など、環境負荷の小さい製品への転換を進めているのもそのひとつ。
2020年度までに温室効果ガスの排出量を6 000万トン抑制するという目標を設定し、2018年度には6 700万トンの抑制を達成したと試算されています。
また、再生可能エネルギーの利用や、工場から排気される有害化学物質を除去するフィルタの設置など、製造過程でも環境への配慮がなされています。
そして先進国と開発途上国それぞれのニーズに応じた製品の提供を行い、都市全体での空調管理を目指しているのです。
●企業の取り組み事例/大建工業
日本最大級の建築資材の総合企業として知られる大建工業。
同社は、1945年の創業当時から一貫してアップサイクルを行っている企業です。
創業当時から主力の合板事業は基本的に木材を有効活用して作られており、製材端材や廃材をウッドチップ化し再利用し製品化する、アップサイクルの先進企業です。
▼参照:DAIKEN魂!
未利用資源を有効活用! 創業時からアップサイクルや社会課題解決に取り組む大建工業
地球上の誰ひとり取り残さないためのSDGs17の目標
では17の目標を見てみましょう。
【持続可能な開発目標】
SDGs1.貧困をなくそう
SDGs目標1「貧困をなくそう」は、「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」ことを目的としたものです。
SDGs2.飢餓をゼロに
「目標2.飢餓をゼロに」は、「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」ことを目的としたものです。
SDGs3.すべての人に健康と福祉を
SDGs目標3.「すべての人に健康と福祉を」は、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」ことを目的としたものです。
SDGs4.質の高い教育をみんなに
SDGs目標4.「質の高い教育をみんなに」は、「すべての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」ことを目的としたものです。
SDGs5.ジェンダー平等を実現しよう
SDGs目標5.「ジェンダー平等を実現しよう」は、「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」ことを目的としたものです。
SDGs6.安全な水とトイレを世界中に
SDGs目標6.「安全な水とトイレを世界中に」は、「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」ことを目的としたものです。
SDGs7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
SDGs目標7.「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」は、「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」ことを目的としたものです。
SDGs8.働きがいも経済成長も
SDGs目標8.「働きがいも 経済成長も」は、「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」ことを目的としたものです。
SDGs9.産業と技術革新の基盤をつくろう
SDGs目標9.「産業と技術革新の基盤をつくろう」は、「強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」ことを目的としたものです。
SDGs10.人や国の不平等をなくそう
SDGs目標10.「人や国の不平等をなくそう」は、「各国内および各国間の不平等を是正する」ことを目的としたものです。
SDGs11.住み続けられるまちづくりを
SDGs目標11.「住み続けられるまちづくりを」は、「包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」ことを目的としたものです。
SDGs12.つくる責任 つかう責任
SDGs目標12.「つくる責任 つかう責任」は、「持続可能な生産消費形態を確保する」ことを目的としたものです。
SDGs13.気候変動に具体的な対策を
SDGs目標13.「気候変動に具体的な対策を」は、「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」ことを目的としたものです。
SDGs14.海の豊かさを守ろう
SDGs目標14.「海の豊かさを守ろう」は、「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」ことを目的としたものです。
SDGs15.陸の豊かさも守ろう
SDGs目標15.「陸の豊かさも守ろう」は、「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」ことを目的としたものです。
SDGs16.平和と公正をすべての人に
SDGs目標16.「平和と公正をすべての人に」は、「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する」ことを目的としたものです。
SDGs17.パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs目標17.「パートナーシップで目標を達成しよう」は、「持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」ことを目的としたものです。
これらは地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを前提に定められたもの。その背景には、前身であるMDGsが発展途上国の問題の解決にウエイトが置かれており、偏りがあると指摘されていたことがあります。
改めて地球上のすべての人が協力して取り組むべき目標として掲げられたSDGs。
17の目標それぞれの詳しい内容やターゲット、事例については、別の記事で紹介していきます。
ライタープロフィール
神澤 肇(カンザワ ハジメ)
リボンハーツクリエイティブ株式会社 代表取締役社長
創業40年以上の制作会社リボンハーツクリエイティブ(RHC)代表。
企業にコンテンツマーケティングを提供し始めて約15年。
数十社の大手企業オウンドメディアの企画・制作・運用を担当。
WEBを使用した企業ブランディングのプロフェッショナル。
映像業界出身で、WEB、紙媒体とクロスメディアでの施策を得意とする。
趣味はカメラとテニス、美術館巡り、JAZZ好き。