SDGs11「住み続けられるまちづくりを」の詳細を事例を交えて紹介!
SDGs
地球環境や社会のシステムを維持するための17の目標と、それに伴う169のターゲットについて、一つずつ事例を交えて解説していきます。
都市の復元力や資源の循環などに焦点を当てつつ安心・安全なまちづくりを目指す
これに付随して、以下のターゲットが設定されています。外務省の資料より引用してご紹介します。
●「目標11.住み続けられるまちづくりを」のターゲット
11.1 2030年までに、すべての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。
11.2 2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。
11.3 2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、すべての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。
11.4 世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。
11.5 2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。
11.6 2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。
11.7 2030年までに、女性、子ども、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。
11.a 各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。
11.b 2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。
11.c 財政的及び技術的な支援などを通じて、後発開発途上国における現地の資材を用いた、持続可能かつ強靱(レジリエント)な建造物の整備を支援する。
(出典:外務省仮訳「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」)
基本的な生活環境の整備から、災害や気候変動にも対応できる都市の実現に取り組む
「目標9.産業と技術革新の基盤をつくろう」でも使われていた「強靭(レジリエント)」という表現が再び登場し、インフラ整備やまちづくりといったハード面では復元力や回復力が重要なキーワードとなっていることがわかります。
「住み続けられる」とは、基本的な生活環境の整備に加えて、災害や気候変動などの影響から速やかに復興していく機能を備えた都市の実現を目指すものでしょう。
ここに「仙台防災枠組2015−2030」が取り上げられているのも注目されます。これは2015年に仙台市で開催された第3回国連防災世界会議で国連加盟国により採択された国際的な防災指針です。
また、廃棄物の管理などで大気や水質汚染といった環境への悪影響を減らす努力も未来につながる取り組みとして不可欠なものとして挙げられています。
もちろん、高齢者や障害者、子どもなどの社会的弱者にとっても安全で住みやすいまちづくりなど、すべての人の生活を保障するための目標となっています。
世界における住み続けられるまちづくりのための取り組み
ドイツの自動車メーカーBMWでは、都市の交通に関する取り組みをグループを挙げて行っています。
大都市圏のモビリティ(交通環境)を、自動車に適したものから人に適したものへと転換させるのが骨子で、SDGsが策定される以前から事業を展開してきました。
具体的には、電気自動車をシェアする「ドライブナウ」や「リーチナウ」などのサービス、将来性あるモビリティの開発を行っている新興企業への投資などです。
また、CO2排出量の削減や、生産時の資源消費量の削減を目指し、再生可能エネルギーを導入するなどで成果を挙げています。
太陽光発電やバイオガス発電システムを取り入れ、世界各地の工場において環境への負荷を減らすことに成功。さらに業界全体を視野に入れ、中小企業へのノウハウ提供も推進しています。
同時に気候変動への対策にも着手し、電気自動車とプラグインハイブリッド車の普及を促進。温室効果ガスの削減や大気の状態の改善も目指しています。
●国の取り組み事例/デンマーク
デンマークは2019年6月に発表された世界のSDGs達成度ランキングで1位を獲得した、SDGs推進先進国です。SDGsが掲げる17の目標すべてに取り組んでいる同国では、2019年2月に民間企業4社による「UN17 Village」というエコ・ビレッジ建設プロジェクトが新たに立ち上がりました。
これはコペンハーゲンにモデル都市を建設するもので、35 000?の土地に400戸の住宅を建築し、持続可能なまちづくりを実現しようとしています。
例えば電力はすべて太陽光発電とし、雨水は再生利用する。
建設にはアップサイクル(素材や製品を再利用する際に、新たなアイデアなどを加えることでアップグレードしたものに生まれ変わらせること)資材を使用し、廃棄物を資源として循環させる。屋上庭園を作り、生物多様性などの自然環境にも配慮する、などの構想を持っています。
SDGs推進のリーダー的存在である同国の取り組みとして、注目されているプロジェクトです。
地球上の誰ひとり取り残さないためのSDGs17の目標
では17の目標を見てみましょう。
【持続可能な開発目標】
SDGs1.貧困をなくそう
SDGs目標1「貧困をなくそう」は、「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」ことを目的としたものです。
SDGs2.飢餓をゼロに
「目標2.飢餓をゼロに」は、「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」ことを目的としたものです。
SDGs3.すべての人に健康と福祉を
SDGs目標3.「すべての人に健康と福祉を」は、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」ことを目的としたものです。
SDGs4.質の高い教育をみんなに
SDGs目標4.「質の高い教育をみんなに」は、「すべての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」ことを目的としたものです。
SDGs5.ジェンダー平等を実現しよう
SDGs目標5.「ジェンダー平等を実現しよう」は、「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」ことを目的としたものです。
SDGs6.安全な水とトイレを世界中に
SDGs目標6.「安全な水とトイレを世界中に」は、「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」ことを目的としたものです。
SDGs7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
SDGs目標7.「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」は、「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」ことを目的としたものです。
SDGs8.働きがいも経済成長も
SDGs目標8.「働きがいも 経済成長も」は、「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」ことを目的としたものです。
SDGs9.産業と技術革新の基盤をつくろう
SDGs目標9.「産業と技術革新の基盤をつくろう」は、「強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」ことを目的としたものです。
SDGs10.人や国の不平等をなくそう
SDGs目標10.「人や国の不平等をなくそう」は、「各国内および各国間の不平等を是正する」ことを目的としたものです。
SDGs11.住み続けられるまちづくりを
SDGs目標11.「住み続けられるまちづくりを」は、「包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」ことを目的としたものです。
SDGs12.つくる責任 つかう責任
SDGs目標12.「つくる責任 つかう責任」は、「持続可能な生産消費形態を確保する」ことを目的としたものです。
SDGs13.気候変動に具体的な対策を
SDGs目標13.「気候変動に具体的な対策を」は、「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」ことを目的としたものです。
SDGs14.海の豊かさを守ろう
SDGs目標14.「海の豊かさを守ろう」は、「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」ことを目的としたものです。
SDGs15.陸の豊かさも守ろう
SDGs目標15.「陸の豊かさも守ろう」は、「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」ことを目的としたものです。
SDGs16.平和と公正をすべての人に
SDGs目標16.「平和と公正をすべての人に」は、「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する」ことを目的としたものです。
SDGs17.パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs目標17.「パートナーシップで目標を達成しよう」は、「持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」ことを目的としたものです。
これらは地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを前提に定められたもの。その背景には、前身であるMDGsが発展途上国の問題の解決にウエイトが置かれており、偏りがあると指摘されていたことがあります。
改めて地球上のすべての人が協力して取り組むべき目標として掲げられたSDGs。
17の目標それぞれの詳しい内容やターゲット、事例については、別の記事で紹介していきます。
ライタープロフィール
神澤 肇(カンザワ ハジメ)
リボンハーツクリエイティブ株式会社 代表取締役社長
創業40年以上の制作会社リボンハーツクリエイティブ(RHC)代表。
企業にコンテンツマーケティングを提供し始めて約15年。
数十社の大手企業オウンドメディアの企画・制作・運用を担当。
WEBを使用した企業ブランディングのプロフェッショナル。
映像業界出身で、WEB、紙媒体とクロスメディアでの施策を得意とする。
趣味はカメラとテニス、美術館巡り、JAZZ好き。