SDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」の詳細を事例を交えて紹介!
SDGs
地球環境や社会のシステムを維持するための17の目標と、それに伴う169のターゲットについて、一つずつ事例を交えて解説していきます。
女性が差別や不利益を被らない世界の実現が目標
これに付随して、以下のターゲットが設定されています。外務省の資料より引用してご紹介します。
●「目標5.ジェンダー平等を実現しよう」のターゲット
5.1 あらゆる場所におけるすべての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。
5.2 人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性及び女児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する。
5.3 未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚及び女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する。
5.4 公共のサービス、インフラ及び社会保障政策の提供、ならびに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。
5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。
5.6 国際人口・開発会議(ICPD)の行動計画及び北京行動綱領、ならびにこれらの検証会議の成果文書に従い、性と生殖に関する健康及び権利への普遍的アクセスを確保する。
5.a 女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、ならびに各国法に従い、オーナーシップ及び土地その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革に着手する。
5.b 女性の能力強化促進のため、ICTをはじめとする実現技術の活用を強化する。
5.c ジェンダー平等の促進、ならびにすべての女性及び女子のあらゆるレベルでの能力強化のための適正な政策及び拘束力のある法規を導入・強化する。
(出典:外務省仮訳「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」)
性別による社会的・文化的な格差の解消を目指す
問題は、それが区別ではなく差別を生んでいるという点です。職業の選択や家庭での役割分担、社会的地位や賃金格差など、女性が不平等な立場に置かれてきた歴史がありますが、それは今でも完全に解消されているとは言えません。
国連開発計画(UNDP)が発表している「ジェンダー不平等指数」によれば、公平性が最も高い国はスウェーデンで、その他はオランダ、デンマーク、スイス、フィンランドなどヨーロッパの国々が続いています。
一方、公平性が低いのはアフリカを中心とする開発途上国。中でもイエメンは女性の中学・高校への進学率が7.6%でしかなかったり、労働年齢にある女性のうち正当な賃金を受け取っている割合が約20%など、差別が顕著な状況です。
これに限らずジェンダー不平等は、国や民族によってさまざまな形で存在しています。こうした不平等をなくし、一人ひとりが抑圧されることなく持てる能力を発揮して生きていける世界を実現するのがこの目標の目指すところです。
世界の国や団体によるジェンダー平等の実現のための取り組み
女性差別が根強い地域としては、イスラム諸国もよく知られているところでしょう。
主に宗教上の理由から、女性の社会進出や生活面での自由などが妨げられてきました。女性の特徴的な服装のルールや、家族以外の男性との接触を禁じるなど、日本を基準とすれば奇異に感じられるような習慣が根付いています。
特にサウジアラビアでは、世界で唯一、女性の運転免許取得を禁じているほどジェンダー不平等が顕著な国でしたが、2018年に女性の自動車運転を認める決定がなされ、初めて女性に運転免許証が発行されました。
これはSDGsをもとに同国の経済改革計画が策定されたことによるものです。この計画には、女性の労働人口の増加が盛り込まれており、その手段のひとつとして自動車運転の規制が解除されました。
さらに、女性の教育や公共施設の利用の制約の改善などの取り組みも進められています。
●団体の取り組み事例/国連開発計画(UNDP)
国連開発計画(UNDP)は、持続可能な開発を促進する国連の開発支援機関です。
その支援の一例として、2010年から「タイ深南部エンパワメントおよび参画プロジェクト」を進めています。
この地域では、民族や宗教に起因する紛争が長く続いており、治安の悪化や社会・経済への悪影響が問題視されてきました。
同プロジェクトは住民間の融和などを目的に、広く支援に取り組んでいますが、ジェンダー平等の観点からは、女性の所得や能力の向上に対する支援が行われています。紛争により配偶者を失った女性への職業訓練や、ビジネス支援活動といった取り組みがその中心で、そこには「少額資金援助」というプログラムが導入されています。
これはコミュニティ企業の設立やそれに伴う経営のトレーニングなどを実施するもので、女性の雇用機会の向上に成果を挙げ続けているとのこと。
このプロジェクトには日本政府が40万ドルの資金拠出を行い、ベルギー政府も協力するなど、国際的なパートナーシップにより運営されています。
地球上の誰ひとり取り残さないためのSDGs17の目標
では17の目標を見てみましょう。
【持続可能な開発目標】
SDGs1.貧困をなくそう
SDGs目標1「貧困をなくそう」は、「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」ことを目的としたものです。
SDGs2.飢餓をゼロに
「目標2.飢餓をゼロに」は、「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」ことを目的としたものです。
SDGs3.すべての人に健康と福祉を
SDGs目標3.「すべての人に健康と福祉を」は、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」ことを目的としたものです。
SDGs4.質の高い教育をみんなに
SDGs目標4.「質の高い教育をみんなに」は、「すべての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」ことを目的としたものです。
SDGs5.ジェンダー平等を実現しよう
SDGs目標5.「ジェンダー平等を実現しよう」は、「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」ことを目的としたものです。
SDGs6.安全な水とトイレを世界中に
SDGs目標6.「安全な水とトイレを世界中に」は、「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」ことを目的としたものです。
SDGs7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
SDGs目標7.「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」は、「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」ことを目的としたものです。
SDGs8.働きがいも経済成長も
SDGs目標8.「働きがいも 経済成長も」は、「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」ことを目的としたものです。
SDGs9.産業と技術革新の基盤をつくろう
SDGs目標9.「産業と技術革新の基盤をつくろう」は、「強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」ことを目的としたものです。
SDGs10.人や国の不平等をなくそう
SDGs目標10.「人や国の不平等をなくそう」は、「各国内および各国間の不平等を是正する」ことを目的としたものです。
SDGs11.住み続けられるまちづくりを
SDGs目標11.「住み続けられるまちづくりを」は、「包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」ことを目的としたものです。
SDGs12.つくる責任 つかう責任
SDGs目標12.「つくる責任 つかう責任」は、「持続可能な生産消費形態を確保する」ことを目的としたものです。
SDGs13.気候変動に具体的な対策を
SDGs目標13.「気候変動に具体的な対策を」は、「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」ことを目的としたものです。
SDGs14.海の豊かさを守ろう
SDGs目標14.「海の豊かさを守ろう」は、「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」ことを目的としたものです。
SDGs15.陸の豊かさも守ろう
SDGs目標15.「陸の豊かさも守ろう」は、「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」ことを目的としたものです。
SDGs16.平和と公正をすべての人に
SDGs目標16.「平和と公正をすべての人に」は、「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する」ことを目的としたものです。
SDGs17.パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs目標17.「パートナーシップで目標を達成しよう」は、「持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」ことを目的としたものです。
これらは地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを前提に定められたもの。その背景には、前身であるMDGsが発展途上国の問題の解決にウエイトが置かれており、偏りがあると指摘されていたことがあります。
改めて地球上のすべての人が協力して取り組むべき目標として掲げられたSDGs。
17の目標それぞれの詳しい内容やターゲット、事例については、別の記事で紹介していきます。
ライタープロフィール
神澤 肇(カンザワ ハジメ)
リボンハーツクリエイティブ株式会社 代表取締役社長
創業40年以上の制作会社リボンハーツクリエイティブ(RHC)代表。
企業にコンテンツマーケティングを提供し始めて約15年。
数十社の大手企業オウンドメディアの企画・制作・運用を担当。
WEBを使用した企業ブランディングのプロフェッショナル。
映像業界出身で、WEB、紙媒体とクロスメディアでの施策を得意とする。
趣味はカメラとテニス、美術館巡り、JAZZ好き。