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サステナビリティと企業ブランディング

ブランディング

「サステナビリティ(Sustainability)」は、非常に大きな概念です。RHCのブランディングnoteでもこれまで、サステナビリティに関連するいくつかの記事を掲載しました。

【ブランディングnote】サステナビリティ関連記事のご紹介

RHCのサスティナブルブランディングとは
https://www.rhcnet.com/article/sustainable.html
世界に求められているサステナビリティ経営の取り組み事例
https://www.rhcnet.com/article/20210118b.html
サステナビリティWEBページ構築前に知っておきたい5つのポイント
https://www.rhcnet.com/article/20210331a.html

現在サステナビリティに注目が集まっている理由についてまとめていきます。

なぜサステナビリティが重要視されるのか

「サステナブル・ブランド ジャパン」が2021年11月〜12月に行ったJSBI(Japan Sustainable Brand Index)調査によると、「SDGs」というワードの認知度は84.2%にのぼりました。2018年1月の時点では9.3%に過ぎなかったことを考えると、3年で実に75%近くも上昇したことになります。
ご承知のようにSDGsのゴールは2030年に設定されており、世界レベルでの化石燃料削減の動きが加速していること、さらにコロナ禍の影響で社会の在り方や経済活動を見直す機会が生じていること、などから「持続可能な社会の実現」に関心が高まったためだと考えられます。
これに呼応するように企業の側も重要な経営課題の一つとして、サステナビリティを考えるようになったのです。

以前から企業は、時代の流れの中で常に新しい取り組みを経営に取り入れてきました。好景気には文化を支援する「フィランソロピー」活動が盛んになり、経済状況が悪化すると「リ・ストラクチャリング」や「リ・エンジニアリング」が課題となりました。21世紀に入り環境保全や人権意識がクローズアップされると、CSRやESGが経営テーマに加わり、やがてSDGs、サスティナブルへと発展する道筋ができたのです。

サスティナブルの概念がこれまでの流行と少し違っているのは、単にそれぞれの企業が置かれた経営環境への対応というレベルを超えて、全世界的に取り組むことが要求される活動である点です。政府もSDGsを意識した政策を数多く推進しており、例えば2022年4月にはプラスチックごみに関する「プラスチック新法」が施行されます。

こうした動きを背景に、企業はエンドユーザーである消費者や従業員、株主、地域社会などあらゆるステークホルダーに対し、常にサスティナブルの視点を示す必要が出てきました。いまやサスティナブルと無縁の企業は、存続することが困難な時代なのです。

出典:サステナブル・ブランド ジャパン

無印良品のサステナビリティ

設立当初から過剰な装飾を省き、ミニマルな製品づくりを続けてきた無印良品(良品計画)も、サスティナブルを前面に打ち出す企業の一つです。
アパレル産業が環境へもたらす負荷の大きさが近年問題視されている中、無印良品はサスティナブルを経営上の大きな柱としてとらえ、製品原料の選別から副資材、包装や陳列に用いる素材まですべてを見直しています。リサイクルにおいても廃ペットボトルの再生に頼らず、自社製品の製造工程で出る残渣を利用するなど、より循環を意識した仕組みづくりになっているのが特徴です。
大量の水の使用、そして85%はゴミに…ファッション業界は環境へ大きな影響を与えている | Business Insider Japan
サステナビリティ | 株式会社良品計画 (ryohin-keikaku.jp)

こうした活動により、無印良品は「環境意識の高いサスティナブルブランド」としての価値を高め、前述したJSBIの調査では企業ランキング総合部門で二年連続で第2位に輝いています。
サステナブル・ブランドとして良品計画が2年連続、第2位に選ばれました | MUJI NEWS | 株式会社良品計画 (ryohin-keikaku.jp)

株式会社ソーシャルインテリアの挑戦

サステナビリティは、また新しい考え方のサービスも生み出しています。
ソーシャルインテリア社は、2016年11月に設立された家具の定額シェアサービスの企業です。2022年3月、社名を創業時の「サブスクライフ」から変更し、インテリアの在り方を変えていく社会的存在になることを目指しています。

Mission:よいものを長く使う、循環社会の実現

Vision:ユーザーとパートナーの双方に便益をもたらす、三方良しなインテリア業界革命プラットフォーム

Varue:インテリア業界革命を実現するための3つの価値観
三方良し:ユーザーとパートナーとの健全な相互利益で仲間を増やす
STAY FEARLESS:無知の勇気を持ち、恐れずに新しい事業をやり続ける
他がやれないこと、自分たちだからできることに、やる意義と勝機を見出す

行動指針
冒険者でいよう
いいやつで終わるな
それ、世界最速?
ボールがよく回るチームへ
遊び心を、ひとふり
※企業理念出典:株式会社ソーシャルインテリア webサイトより

同社はこれらの理念を掲げ、コロナ禍を契機に変容するオフィスや店舗、住環境に家具の「所有から利用へ」という意識変革を提案し、業績を伸ばしています。
株式会社ソーシャルインテリア|よいものが、循環する社会へ (socialinterior.com)

サスティナブルは次のステージへ

2022年4月に東京ビッグサイトで開催された「第2回サステナブル ファッションEXPO」では、多数の入場者を集め世間の関心の高さを感じさせました。会場では天然素材を活かした製品づくりを行う事業者や、大手でもリサイクル技術を用いた循環製品を提案する企業などが多くみられました。
しかし、石油製品やプラスチックを再利用し、循環することは現在の環境負荷を押しとどめることに効果はあっても、その改善にまでは及びません。
実はここが、現在のサステナビリティの「限界」だと言われているのです。
産官学および自治体などで構成されるグローバルな会議「サステナブル・ブランド国際会議」では、この限界を超える次のステージの概念が示されました。環境への負荷の影響は想像以上に強く、既に「持続」という概念では間に合わないのではないか、として「Regeneration(リジェネレーション):再生」という考え方が提案されているのです。
マイナスの側面を減らすことによる「持続可能性」だけではなく、プラスの側面を意図的に生み出すことにより「もっと良い状態にしていく」必要性、いわば「サステナビリティ2.0」とでもいうべきものです。

無印良品やソーシャルインテリア、また過去にRHCブランディングnoteで紹介したLUSHやパタゴニアのように、ステークホルダーと一体となって「サステナビリティ2.0」をリードする企業が増えてくれば、世界はもっとよりよい方向に変わっていくかもしれません。

ライタープロフィール

神澤 肇(カンザワ ハジメ)
リボンハーツクリエイティブ株式会社 代表取締役社長

創業40年以上の制作会社リボンハーツクリエイティブ(RHC)代表。
企業にコンテンツマーケティングを提供し始めて約15年。
数十社の大手企業オウンドメディアの企画・制作・運用を担当。
WEBを使用した企業ブランディングのプロフェッショナル。
映像業界出身で、WEB、紙媒体とクロスメディアでの施策を得意とする。
趣味はカメラとテニス、美術館巡り、JAZZ好き。

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